当院の虫歯治療は、健康な歯をできるだけ残すことを大切にしています。
虫歯治療で大切にしていること
- 虫歯治療に伴う「痛み」をなるべく抑える
- 歯を削る量を少なくする
- 可能な限り虫歯を繰り返さない
虫歯治療に伴う「痛み」をなるべく抑える
「行くべきなんだろうけど、痛いは嫌・・・」
虫歯かもしれないとわかっていても、痛いのが嫌だという理由で、つい先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか。
痛いのは誰しも嫌なものです。治療の痛みを理由に歯科医院に通うのを避けられてしまえば、残せたはずの歯を失うという結果にもつながります。
虫歯の早期発見や治療への理解など、患者さんの協力こそが良い治療を行うためには不可欠です。そのために、虫歯治療に伴う「痛み」をなるべく抑えることは、患者さんの歯を守ることにつながると考えています。
麻酔の痛みを抑える
麻酔を使うことで治療の痛みはとれますが、まずは麻酔の注射の痛みが最初のハードルになって、なかなか治療に踏み切れない方もいらっしゃいます。そのような方にも安心して治療を受けてもらえるように、麻酔の痛みを出来るだけ感じないよう様々な工夫をしています。
表面麻酔(塗り麻酔)をつかう
麻酔を注射する部分に塗ることで、針を刺す時の「チクッ」とした痛みを感じにくくなります。
できるだけ細い針を使用する
針は細い方が痛みを感じにくくなります。麻酔をする場所や深さに合わせて針の太さを変えることがありますが、なるべく細いものを使用するようにしています。当院では通常、35G(ゲージ)という極めて細い針を使用しています。
麻酔液を一定の速度で注射する
なるべくゆっくりと一定の速度で麻酔を注入していきます。一気にグッと入れてしまうと痛みがでてしまいます。
歯を削る量を少なくする
削った歯は皮膚や骨のようには自然に回復できません。だからこそ、歯を削ることに対して、不安に思う気持ちはあるかと思います。虫歯を取り残してはいけませんが、可能な限り歯を削らない虫歯治療を行なっています。当院では、健康な歯を残せるように知識や技術、設備を整えています。
初期の虫歯の治療
ごく初期の虫歯はその後のケアで虫歯の進みを止めることができます。そのため、不用意に削ったりせずに、定期検診で虫歯がこれ以上進んでいないかを観察します。
細いバー(ドリル)を使う
歯はバー(ドリル)という器具で削ります。バーには様々な太さや形状があります。太いバーを使えば、削るスピードは速くなりますが、効率だけを重視すると健康な歯を不用意に削ることにもつながりかねません。細いバー(ドリル)で必要な部分だけを削ります。
虫歯(う蝕)の検知
虫歯を削るには、虫歯になっている部分を正確に確認することが重要です。レントゲン画像、口腔内写真、う蝕検知液など虫歯の進み具合や状況にあわせて使うことで、どこまで歯を削れば良いかがわかり、歯を削る量を最小限に抑えることができます。
また、「見た目」だけでなく「手の感触」によって虫歯の状態を確認し、虫歯の部分をしっかり見極めながら処置を行なっています。
可能な限り虫歯を繰り返さない
一度治療した歯がまた虫歯になってしまうことを二次虫歯(二次カリエス)と言います。繰り返し虫歯になって悪くなった部分を削ると、ご自身の歯がだんだん少なくなっていき、歯を抜かなければいけない状態にまでなってしまうこともあります。
虫歯を再発させないためには、虫歯の原因を知って適切なセルフケアをすることが大切です。もちろん、歯科医院側での治療選択によってできる対策もあります。
虫歯の原因
虫歯(う蝕)は世界で最も多いといわれている疾患です。口の中には約700種類の細菌が住んでいます。 そのなかのミュータンス菌は主な虫歯の原因菌のひとつです。
虫歯は、食べ物や飲み物に含まれる糖質を、口の中に住みついている細菌がエサにして作る酸によって、歯が溶かされていく状態のことをいいます。
虫歯になりやすい歯の場所
虫歯になりやすい場所は、プラーク(歯垢)の溜まりやすいところです。かみ合わせの面の歯の溝、歯と歯ぐきの境目、歯と歯が接している面などの、普段の歯磨きで、歯ブラシが届きにくい場所が虫歯になりやすいところです。
虫歯の進み方と治療方法
口の中に住みついている細菌が作り出す酸によって、歯が溶かされていくことで、虫歯は進んでいきます。歯のどこまで虫歯が進行しているかによって、症状や治療方法、治療にかかる期間が変わってきます。
CO(初期虫歯)
歯のエナメル質のカルシウムなどミネラル成分が溶け出している状態。歯の一部が白く濁って見えたり、薄い茶色に見えたりします。痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
初期むし歯の状態であれば、ブラッシング指導やフッ素塗布などの予防処置によってこれ以上虫歯が進まないようにします。
C1(う蝕第1度)
歯のエナメル質が溶かされた状態。痛みなどの自覚症状はほとんどありません。この程度の時に治療を始めれば、痛みもあまりなく短い治療期間で終わります。
歯の穴が小さい場合は、むし歯の部分を削り取り、その部分にレジンと呼ばれる歯の色に近い合成樹脂を詰めて穴をふさぐ治療方法が一般的です。
C2(う蝕第2度)
歯の象牙質まで溶かされた状態。歯がしみるようになってきます。この段階で治療を始めれば歯の神経を取らずにすみます。
虫歯がある程度進んでしまうと、直接歯の穴をうめることが難しくなります。虫歯を削った部分の歯の型を取り、金属やセラミックなどでできたつめ物(インレー)を作り、穴をふさぎます。ある程度大きくなった虫歯でもダイレクトボンディングで白い詰め物が出来るケースもあります。
C3(う蝕第3度)
虫歯の進行が歯の神経まで達した状態。この段階では激しい痛みを感じることもあります。ここまで虫歯が進んでしまうと歯の神経を取らなければいけなくなります。歯は神経がなくなるともろく欠けやすくなります。
虫歯が歯の神経まで進んでしまった場合は、 細菌に感染した神経を取り除く歯の根の治療が必要になります。根の治療は、再び歯が細菌に感染するのを防ぐために、掃除と消毒を何度も繰り返します。根の治療がすんだら、金属やレジンで土台をたてて、その土台の上に歯の代わりとなる被せ物(クラウン)を被せます。
C4(う蝕第4度)
歯の神経が死んでしまい、歯の頭の部分(歯冠部)も崩壊している状態。神経が死んでしまったため、痛みがなくなる場合がありますが、歯の根の先に膿が溜まっていると激しい痛みを感じることがあります。この段階では、歯を残すことは困難なため、歯を抜くことになります。
歯を抜いて歯が根元からなくなってしまった場合は、入れ歯(デンチャー)やブリッジ、インプラント治療を行います。歯が無い部分を補うための治療を欠損補綴(けっそんほてつ)といいます。