歯周病は、歯を失う主な原因となる、国が対策を進める国民的感染症です。
生活習慣の改善、ホームケア、プロケアで歯周病予防をはじめましょう。
歯周病予防をはじめましょう
- 歯周病のリスク
- 歯周病の予防
- 重度の歯周病治療
歯周病とは歯周組織に炎症が起きる病気
歯周病は35歳以上の成人の約80%がかかっているとされる感染症です。プラークに潜む歯周病菌によって歯ぐきや顎の骨などの歯周組織に炎症が起きます。歯を失う原因としては虫歯より高く、一番の原因となっています。
「歯肉が少し腫れてるかも」
「歯ぐきから血が出る」
いままでの経験で心当たりはないでしょうか。歯周病はよく「自覚がないまま進んでいる」と言われることもありますが、自覚症状を感じている人は、決して少なくありません。軽い症状でもほっておくと悪化していき、ひどい痛みが出ることもあります。歯周病は適切な処置によって予防・治療ができる病気です。
歯周病は全身疾患につながる
歯周病の影響は口の中だけにとどまりません。1990年代後半から21世紀にかけて、歯周病と全身疾患の関係が歯周病研究によって明らかになってきました。
歯周病が進むと血液を介して歯周病菌が各臓器へと運ばれ、全身に悪影響を及ぼします。歯周病は糖尿病や誤嚥性肺炎、早産、心筋梗塞、動脈硬化などの原因となることがわかってきました。他にも「骨粗しょう症」「肥満」などとの関連性が指摘されています。
歯周病の予防
ホームケア
食事をした後しばらく経つと、食べかすを養分にして菌のかたまりであるプラークができます。ブラッシングでいつも口腔内を清潔に保ち、歯周病菌が増殖しにくい環境を保つこと(プラークコントロール)が歯周病予防の鍵となります。
一つ注意したいのが歯磨き粉はつけすぎないこと。歯磨き粉はプラークを浮かせるのに有効ですが、泡だちの爽快感からブラッシングが不十分でも磨いた気分になってしまいがちです。
フッ素入りの歯磨き粉を使う場合は、年齢に合わせた量をつけて、フッ化物の成分を残すために軽くゆすぐ程度にすると効果的です。
また、歯ぐきの腫れや出血がある場合は、毛先が柔らかい歯ブラシを使いましょう。ただし、毛先が柔らかい歯ブラシはプラークを落とす力が弱いので、歯を一本一本、丁寧に磨くように意識しましょう。
ブラッシングが不十分で取り残したプラークは、だんだんと固くなり、歯石になります。歯石は専用の器具でないと取り除けません。
プロケア
ブラッシングが届きにくいところのプラークや、プラークが石のように固まった歯石は、ホームケアで取り除くことは困難です。歯科医院での定期的なチェックとケアを受けることをお勧めしています。
定期検診
ご自宅でのケアがきちんと行われているか確認します。必要であれば治療をおこないます。
クリーニング
歯磨きだけでは取り切れないプラークや歯石をとってもらいましょう。
セルフケア指導
歯科医師もしくは歯科衛生士による、患者様のお口の状態に合わせたセルフケア指導を行います。
生活習慣を整える
歯周病はプラーク内の細菌を主な要因として、生活習慣や口腔内環境要因にも関連する複雑な病気と言われています。
毎日の生活習慣をすぐに変えるのはなかなか大変です。歯周病は完治しにくく、再発しやすいのはこのためです。
お口の中とは直接関係ないように思えますが、適度な運動で体を動かしたり、十分な睡眠をとり心身を休めることが、歯周病のリスクを減らします。
重度歯周病の治療
腫れる前、痛くなる前にケアできているのが理想とはいえ、異常を感じて歯科医院に行ってみたら歯周病が進んでいると言われてショック!という患者さんもいらっしゃいます。
歯周病は進むと歯の周りに炎症が起きて、あごの骨などの歯を支えている組織が失われていきます。炎症の原因となっているプラークや歯石を取り除き、歯磨きの改善で炎症は治ります。
しかし、それまでに歯の周りの組織が大きく減っていると、その後の歯の寿命に影響がでます。どうにか歯を残したいというとき、歯を支える組織を再生する「歯周組織再生療法」があります。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、歯周病によって歯を支える歯周組織が大きく失われた際に用いられます。
歯ぐきを切り開いて、歯の根を露出させます。歯周基本治療だけでは除去しきれなかったプラークや歯石を取り除きます。その後、再生材料が付着しやすいように歯の根の表面を処理してから、再生材料を塗布します。骨移植や人工骨補填材を併用する場合もあります。
歯周組織再生医薬品「リグロス®︎」
「リグロス®︎」は、歯周病の進行によって破壊された歯を支える歯周組織(あごの骨、歯根膜、セメント質)を再生する効果があります。「リグロス®︎」は保険適用の対象ですので、健康保険を使って治療することができます。