歯がもつ本来のしっかり噛みやすいという機能回復を第一に、いろいろな材料の性質を活かした治療を行います。
補綴治療で大切にしていること
- しっかり噛めることが大事
- 材料を選ぶときの5つの基準
- 詰め物・被せ物に使う材質ごとの特徴
しっかり噛めることが大事
「金属、ハイブリッドって?、セラミック、できれば白い方がいいな・・・」
歯の詰め物・被せ物には、色々な種類があり、治療方法の選択で迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
虫歯などで欠けてしまった歯を、しっかり噛めるように機能を回復するための治療が、詰め物・被せ物(補綴治療)です。
最終的にどの材料を使用するにしても、しっかり噛めるという歯本来の機能性の回復を重視した治療を行う必要があります。そのために、患者さんのお口の中全体のかみ合わせをしっかりとみて、詰め物・被せ物等を製作する歯科技工所と密な連携を図り、チームで治療に取り組んでいます。
材料を選ぶときの5つの基準
どの材料の詰め物・被せ物にするか、材料ごとの違いを患者さんひとり一人のお口の中の状態や治療する場所にあわせて説明します。
患者さんに理解してもらうことを大前提として治療を進めていきますが、いくつかある選択肢の中から、最終的にどの材料の詰め物・被せ物にするのかで迷ってしまうこともあると思います。
迷ったときは、5つの基準でそれぞれの材料を比べて、自分はどの基準を一番大切にしているのか、優先順位を考えることが納得できる詰め物・被せ物を選びのポイントになります。
5つの基準
1│コスト
「どのくらい費用がかかるのだろう」誰しもがまずはじめに気にかかるところではないでしょうか。使う材料ごとに費用は異なります。また、保険が適用される材料か、自費の材料かでも負担は異なります。たとえば、同じ金額の材料でも保険適用の材料は、患者さんの負担額は少なくなります。
2│耐久性
歯の詰め物・被せ物ができるだけ長くもつことです。材質によっては、すり減ったり変色といった経年変化がおこります。すり減って形が変わってしまうと、かみ合わせも悪くなるので、定期的なケアが必要になります。
3│審美性
自然に美しく見えることです。単純な白さという基準だけでなく、患者さん自身の歯の色に可能な限りあわせて、自然な見た目に調整できる材質もあります。特に前歯など目立つ歯の場合は、ご自身の歯の色や透明感、グラデーションをあわせることで審美性が高まります。
4│再発リスク
治療した箇所の虫歯や歯周病が再発する可能性をできるだけ低くすることです。自分の歯としっかりと接着し詰め物などの隙間ができにくく、プラークが付着しにくいため、虫歯になるリスクを減らせる材料もあります。
5│安全性
材料自体が身体にとって安全であることです。基本的にはどの材料も身体に影響がでないものが選ばれていますが、金属を使った治療は金属アレルギーを引き起こす可能性があります。
詰め物・被せ物に使う材質ごとの特徴
ジルコニア
- 自費治療
- メタルフリー治療
- セラミック治療
特長
ジルコニアは、二酸化ジルコニウムを主成分とし、「人工ダイヤモンド」とも呼ばれています。高強度で酸・アルカリの耐蝕にも強く、生体親和性が高いことから人工関節など、医療の分野で使用されることが多い材質です。表面は非常に滑沢で汚れや細菌が付着しずらく、変色もほぼおこりません。重量が金属の約1/3と軽いので口の中の違和感も少なく、透過性に優れており、透明感にあふれた白く美しい自然な歯を再現することができます。
短所
色調はe.max(イーマックス)に劣る。
e.max(イーマックス)
- 自費治療
- メタルフリー治療
- セラミック治療
特長
e.maxの主成分は、ニケイ酸リチウムです。硬度が天然歯のエナメル質に近いため、かみ合う歯を過度に摩耗させることがない、硬すぎず柔らかすぎない材質です。表面は非常に滑沢で汚れや細菌が付着しずらく、変色もほぼおこりません。豊富な色調があり、天然歯を再現できる高い審美性があります。
短所
強度はジルコニアに劣る。衝撃により割れたり欠けたりする恐れがある。
ハイブリッドセラミック
- 自費治療
- メタルフリー治療
特長
レジン(プラスチック)に超微粒子セラミックスを配合した素材です。保険適用の硬質レジンよりも耐久性があり、色調の再現性に優れているため、自然な歯の色を再現できます。また、自費治療の中では、経済的にメタルフリー治療を行うことができます。
短所
長期間の使用で、レジン(プラスチック)の変色やツヤの消失がおこる。セラミックより、柔らかいためすり減りやすい。また、表面の傷にプラークなどの汚れが付着しやすい。
CAD/CAM
- 一部保険適用
- メタルフリー治療
特長
ハイブリッドレジンブロックから削り出して製作します。 保険適用の範囲内で色調は単調ではありますが白い歯が入れられます。なお、金属アレルギーをお持ちの方は保険適用範囲が広がります。
短所
保険適用の歯が限られている。長期間の使用で、レジン(プラスチック)の変色やツヤの消失がおこる。セラミックより、柔らかいためすり減りやすい。また、表面の傷にプラークなどの汚れが付着しやすい。
金属(12%金銀パラジウム合金)
- 保険適用
歯科用金属のひとつで、成分としては、金12%、パラジウム20%、とJIS規格で定められており、銀50%前後、銅20%前後、その他インジウムなど数%が含まれています。